もう2分半の壁も越えられていると仮定して、この段階も1週間続けてもらっているとして、補足的な話を。
少し『秘密集会阿閦金剛』の画像があったならば少し見てみて欲しい。今やっていることは密教ではないし集大成のチベット仏教が何を語るか。仏像ではなくタンカとか曼荼羅とか言われる絵柄の真ん中のご尊顔(憤怒形)を拝してみると、口が開き舌を上顎に上げているのがわかる。口も使って呼吸をするということ、よく言われるように舌を上顎につけるというのを実践しているのがわかるはずでそのまねるモデルになっている。一見関係ないようにも見えるが日本に伝わった真言密教の金剛界降三世三昧耶会降三世会理趣会を一枚で表したようなタントラが『秘密集会阿閦金剛』なのだがそういう教義的なものの見方をせずとも色々物語ってくれる一枚のシーンに思えてならない。
人間は言葉をしゃべる関係で口を使って呼吸をするように進化したのだが、口呼吸は呼吸を浅く速い呼吸に合っているように思われる。普段とは逆さまを練習するのがシータリー呼吸なのか全く知らないが、舌を丸めるのは通常鼻で呼吸する時(無意識の話で)鼻腔の中で空気を湿らせ適度な湿度の空気にして呼吸器に送ることと同じ効果+αを狙っているのかもしれないと思ったりもする。鼻から吸った空気も冷えていく様観じてますか?こうやって考えると呼吸においては口からは吐く以外はあまり考えなくていいことはある程度たどり着く。
長い息でよく知っておきたいのは「吐く」ことで、ひとつは「しっかり吐く」ことで、二つ目は「長く時間をかけて吐く」ことの二つで使い分けが出来る。「阿吽呼吸」で「吽」が終わりをも意味しているが吐ききるのにこの吐いた最後の終わりに「ウ(フ)ン」と腹に力を込めて吐ききると、”あら不思議”、吸ってもいないのに(”吸おうと意識しない”程度の意味)自然と息が入ってきますね。
ここまでやる必要なないですが、緊張で呼吸がうわずってしまう人にはちょっと頭の片隅に置いておいて欲しいのは吐かないと吸えないという事実です。呼吸がうわずっている時は換気量が少なく、更に早くなっている時は死腔が呼吸毎に加算されて効率の悪い呼吸になっていることは、よく知られている話だったりする。昔とは違い程度のほどはあれど私のように緊張しいなど心理的影響による過換気症候群(過呼吸)などは(現在では)ペーパーバッグ法は用いられないが(二酸化炭素分圧が高くなりすぎるというふうに解せられているみたいで人の状態を見極めるのが難しい事も含まれていそうで指導・治療・誘導には向かないのでしょうね)、まずは一時的に低下した二酸化炭素分圧を元に戻し、酸素の取り込みが可能な状態に戻すことが求められるのでゆっくり深い呼吸を薦められるのは横隔膜を使い腹式呼吸にする云々というようで異論はないです。
逆に激しい運動でハァハァしてしまった時は、代謝性アシドーシスで血中の乳酸が過度に(pHが上がり)増え、二酸化炭素を過度に捨てようと呼吸で補おうと(pHを下げようとする)している。
さて、いずれにいても、本来は肺気腫などのリハビリテーションの技術で縁遠い話でしょうが意外とオススメなのが口すぼめ呼吸+腹式(横隔膜)呼吸、口をすぼめて吐くので呼吸器に普段よりも圧をかけ、腹式呼吸で横隔膜を刺激しつつ自律神経を整える事が考えられます。ということで、前にのせた「4 – 7 – 8 呼吸法」のわかりやすい動画を見直してみてください。そのまんまです。
ここでは「伝統的に舌を上顎につける」的な説明をしているシーンが見られますが、どうもこれは共通していわれていることのようなのであえて一般論、「舌を上顎につけることで気の道を作る」んです。私には効果はさっぱりわかりません。寧ろ表の人中はぶん殴ると卒倒する点ですが(あえてツボとは呼ばない)その唇の裏の歯茎にある齦交というツボは情緒不安定の際に用いる事以外全くの謎のツボです。更にはその表面ではなく更に背面の上顎に添えるのが一般的です。ちなみに息吐きにくいです、えぇ。私的には実感も確証もなく立証出来ないのであまり触れてきませんが任脉と督脉はこの舌の先で繋げて気の道ができると考えていそうで、私的には「舌を上顎につける」のは極めて迷信に近いですので一応。
ただそれでも呼吸に集中する”点”を鼻の下にする時、「舌を上顎につける」ことでコレが頼りになるのは確かで、それ以外は任脉と督脉の接続を考えるならば、舌をつけてなくても喜悦はおこるし鎮めも出来るので、鼻呼吸の際だけで一応”点ける”(付けておこうか~ぐらい)で十分な気がしないでもない。呼気を口からする時は綿密に気にしてたらキリがなさそうですなぁ(苦笑)。
最後に「吽」ですが元は「हूं(hūṃ)」ですので「ふ~ぅん(む)」で、金剛薩埵(降三世)の真言でもあります。呼気の最後に使うと吐ききれますし、カパラバティなどを参考にすればデトックス効果もありそうなのでまさに毒抜きなりそうですね。降三世は三毒を除くのはあながち間違っていないということです。秘密集会タントラでも最初に降三世明王の真言から入ってくようですね。
私は「4 – 7 – 8 呼吸法」と「ボックス呼吸法」以外は、昔、格闘技を習っていたことで丹田だの呼吸法っぽいことをやっていたのと、ずーっと昔にこのあたり「チベッタン・ヒーリング 古代ボン教・五大元素の教え」でも「どんなもんなんかい」とあれこれ試してみた記憶だけでヨガの呼吸法はほぼ知らないのだ。もっと落とし込めるのはないかなぁと思っていたら、ヨガの呼吸法はまさにそれだと思ったので、今回少し集めてみた。集めてみて面白い人がいたので動画を紹介しておこうと思う。
ヨガコントがいい感じでした(笑)。つか、お笑いに持っていくセンスより、体幹しっかりしててやっぱりこういう人たち凄いね。
「長い息を知る」を総括して「丁寧」に息をするという表現がわかりやすいかとも。