邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第9課

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第8課

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第09課

仏は除蓋障菩薩に告げられた:
「その時、聖馬王とはすなわち観自在菩薩摩訶薩であり、彼が私を危難と死の恐怖から救い出したのである。
除蓋障よ、今私は観自在菩薩摩訶薩の功徳の量を詳しく説くことはできません。しかし、少しだけその功徳について述べます。
除蓋障よ、観自在菩薩の身の毛孔の中には、無限の功徳があります。金色の毛孔の中には、無数の百千億数え切れないほどの乾闥婆が住んでいます。彼らは輪廻の苦しみを免れ、常に最上の快楽を享受し、天界の物品を使い尽くすことがありません。彼らは悪心を持たず、憎しみや嫉妬、貪欲、瞋り、愚痴を持たず、常に八正道を行い、法の喜びを享受しています。
除蓋障よ、その金色の毛孔の中には、如意宝珠が光を放ち、乾闥婆たちの思念する必要なものをすべて満たします。この金色の毛孔の中からは、このような現象が現れます。また、黒色の毛孔の中には、無数の百千億の那庾多の神通力を持つ仙人たちが住んでいます。中には一つの神通力を持つ者もいれば、二つ、三つ、四つ、五つ、そして六つの神通力を持つ者もいます。
さらにその毛孔の中には、銀の地に黄金の山、白銀の峰が現れ、三十七の愛染蓮華がその山を美しく荘厳しています。その山の中には、八万四千の神仙たちが住んでおり、その仙人たちは劫樹を出現させます。劫樹は深紅の身を持ち、黄金と白銀の枝葉を持ち、宝の光を放ちます。また、各々の毛孔からは、四宝池が現れ、八功徳水で満ちており、美しい華が池を満たしています。
池の岸辺には、天の妙香の樹や栴檀の樹が立ち、また荘厳な劫樹には天の冠や耳飾り、珠玉の瓔珞が飾られ、さらに宝鈴が掛けられています。その上には美しい天衣や天界最高の服(※75)が掛けられています。各々の劫樹の下には百人の乾闥婆の王がいて、常に音楽を奏でています。また、群れの鹿や羽を持つ霊鳥がその音楽を聞きながら、すべての有情が輪廻の苦しみを受けていることを思惟します。彼らは考えます:
『なぜ南贍部洲の人々は、生老病死や愛別離といった苦しみを受けているのか』
この鳥や鹿たちは、この大乗荘厳宝王経という名を思惟し、その結果、天の美味しい飲食物や妙香、天衣などが思いのままに満たされるのです。」
その時、除蓋障菩薩は世尊に申し上げました:
「私は今、この話を聞いて非常に希有であると感じます、世尊!」
仏が言いました:
「善男子、あなたの意見ではどう思いますか?」
除蓋障菩薩は世尊に申し上げました:
「このように、有情がただこの経の名号を思念するだけで、これほどの利益と安楽を得るのなら、もしもさらにこの経を聞き、それを写し取り、受け入れて持ち、読誦し、供養し、恭敬する者は、常に安楽を得ることでしょう。また、もし誰かがこの経の中から一文字でも書き写したなら、その者は未来において輪廻の苦しみを受けず、屠殺や下賤な家に生まれることは決してありません。その生まれた身体は決して背中が曲がったり、足が不自由だったり、唇が裂けたり、皮膚の病気や他の嫌な相を持つことなく、完全な身体を持ち、感覚器官がすべて揃い、大いなる力と威勢を持つでしょう。ましてや、完全にこの経を受け入れ、持ち、読誦し、書写し、供養し、恭敬する人が得る功徳がどれほど偉大かは言うまでもありません!」
その時、世尊は讃嘆して言われました:
「善哉!善哉!除蓋障よ、汝は今このような法をよく説いた。今、この会中には無数の天龍、薬叉、乾闥婆(※22)、阿修羅(※18)、迦楼羅(※23)、緊那羅(※24)、摩睺羅伽(※20)、人および非人、在家信男(※10)、在家信女(※11)など、数えきれないほどの衆生がいるが、彼らは皆、汝が説いたこの法を聞き、この広大な法門を汝の質問によって聞くことができたのだ。」
その時、除蓋障菩薩が世尊に申し上げました:
「世尊よ、今、世尊がこの妙法を説かれたことにより、天人や衆生たちは堅固な信仰心を生じました。」
その時、世尊が讃えて言いました:
「善哉、善哉、善男子よ、汝はこのように再び観自在菩薩について問い、彼の身の毛孔に現れる功徳を尋ねた。除蓋障よ、観自在菩薩の毛孔には、宝で荘厳された毛孔があり、その中には無数の百千万倶胝(※76)那庾多(※64)の乾闥婆女が存在する。彼女たちは容貌端厳で、形体は美しく、多様に荘厳され、その姿は天女のようである。彼女たちは貪瞋癡の苦しみに侵されることはなく、人間の少しの苦悩も受けることがない。これらの乾闥婆女は、三時において観自在菩薩摩訶薩の名号を念じ、その時に一切の所求の物を得るであろう。」
その時、除蓋障菩薩が仏に申し上げました:
「世尊、私はその毛孔の中に入り、その中にあるものを見たいと思います。」
仏が除蓋障菩薩に告げました:
「善男子よ、彼の毛孔には境界がなく、虚空のように限りも障害もないのです。善男子よ、その毛孔は障りも触れもなく、苦しみを感じることもありません。その毛孔の中に普賢菩薩摩訶薩が入り、十二年にわたり行じたものの、彼はその境界を見出すことができませんでした。各々の毛孔の中には、それぞれの仏部が存在し、その中に住んでいるのです。ゆえに、普賢菩薩ですらその境界を見極めることができなかったのです。いかにして他の菩薩がその境界を見られるというのでしょうか?」
仏は言いました:
「善男子よ、私もこのような微細で静かな境地を見ることはできません。彼は相がないために、十一の顔を持ち、百千の目を具えた大身を現し、広大で深遠な静寂を得ています。その知恵は輪廻を超え、救済も種族も智慧も説法も見えません。このように、すべての法は影響のようであり、善男子よ、観自在菩薩のように、自性を持たず、至る所で見られないのです。さらには如来でさえもその本質を見ることはできません。どう思いますか?善男子よ、普賢菩薩を含むすべての菩薩たちは、観自在菩薩の変化を理解することができない、不思議な力を持っています。善男子よ、観自在菩薩摩訶薩は、種々の救済を現し、無数の倶胝(※76)那庾多(※64)の有情を極楽世界に往生させ、無量寿如来を見せ、法要を聞かせることで、すべての者が菩提道を成就することができるのです。」
除蓋障菩薩は言いました:
「世尊、どうすれば私は観自在菩薩摩訶薩を見られるのでしょうか?」
仏は言いました:
「善男子、その菩薩は必ずこの娑婆世界に現れ、私に会い、礼拝し供養するであろう。」
その時、除蓋障菩薩は仏に申し上げた:
「世尊、観自在菩薩摩訶薩がここに現れるのは、いったいいつのことですか?」
仏はお答えになった:
「善男子、この有情の根が熟する時期を待って、観自在菩薩摩訶薩は先にここに現れるであろう。」
その時、除蓋障菩薩摩訶薩は手を合わせながらこのように思いました:
「私は今、どうしてこのような罪障を持っているのか。寿命が長くても何の役にも立たず、観自在菩薩を敬い礼拝することができないとは、盲目の者が道を歩むようなものだ。」
そして、除蓋障菩薩は再び仏に尋ねました:
「世尊、観自在菩薩摩訶薩は実際にはいつこの地に来られるのでしょうか?」

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第8課

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第7課

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第08課

そこで、観自在菩薩はこれらの生きとし生ける有情を救済した後、ヴァーラーナシ大城を離れ、摩伽陀国へ向かいました。その時、この国は天災による旱魃に見舞われ、20年間も雨が降らず、人々や動物たちは飢えと苦しみに追い詰められ、互いに身肉を食い合う状況に陥っていました。その時、観自在菩薩は心に思案しました:
「どのようにしてこの有情たちを救うべきか」
菩薩は様々な雨を降らせ、まず乾いた大地に潤いをもたらしました。次に、様々な器に中上等の味の飮食が満ちるように雨を降らせました。これによって、人々は飢えを満たし、菩薩はさらに食料や穀物を降らせ、彼らが必要とする物を十分に供給しました。
その時、摩伽陀国のすべての人々は、この前代未聞の出来事に驚き、恐れおののきました。人々は一箇所に集まりと話し合いました:
「これは一体何の天の力によるものか?」
その集まりの中に、一人の年老いた者がいました。この人物は数百千年の寿命を持ち、杖を頼りに体を傾けながら立っていました。その者は言いました:
「これは天の力によるものではない。この現象は、確かに観自在菩薩の威徳と神力による変現です。」
人々が尋ねました:
「なぜ観自在菩薩はこのような奇跡を起こすことができるのか瑞相あるのでしょうか?」
その年老いた者は答えました:
「聖なる観自在菩薩の功徳と神力は、暗闇の中で灯明となり、燃え盛る炎に覆いを施し、渇きに苦しむ者には川を現し、恐怖の場所では無畏を施し、病苦に悩む者には薬となり、苦しむ有情にとっては父母となります。阿鼻地獄にいる者たちには涅槃の道を示し、世間のすべての有情に功徳、利益、安楽をもたらします。もし誰かが観自在菩薩の名を念じるなら、その者はすべての輪廻の苦しみから解放されるでしょう。」
人々はこれを聞いて、皆口をそろえてと称賛しました:
「善哉(よきかな)」
「もし誰かが観自在菩薩の像の前に四方曼拏羅を設け、常に香華を供養するなら、その者は七つの宝具を備えた転輪聖王となるでしょう。それは金輪宝、象宝、馬宝、珠宝、女宝、主蔵宝、主兵宝です。このように七つの宝を得るでしょう。また、もし誰かが一つの花を観自在菩薩に供養するなら、その者は身体から妙香が放たれ、生まれる場所において身体の相が円満となるでしょう。」
老者は観自在菩薩の功徳と神力について説いた後、人々はそれぞれ自分の住まいに帰り、老者もまたその場所に戻りました。
その時、観自在菩薩は虚空に昇り、心に思いました:
『久しく毘舎浮(※7)如来にお目にかかっていない。今こそ祇陀樹林精舎に行き、世尊にお目にかかろう。』
そうして観自在菩薩はその精舎に向かい、そこには無数の天、龍、薬叉、乾闥婆(※22)、阿修羅(※18)、迦楼羅(※23)、緊那羅(※24)、摩睺羅伽(※20)、人間や非人、さらに無数の菩薩たちが集会しているのを目にしました。』
その時、虚空蔵菩薩が仏に申し上げました:
「世尊、今ここに来られたのはどの菩薩でしょうか?」
仏は告げました:
「善男子、これは観自在菩薩摩訶薩です。」
その時、虚空蔵菩薩は黙然とその場に立ちました。そして観自在菩薩は、仏の周りを三度回り、その後、仏の左側に座りました。世尊はそこで彼に慰労の言葉をかけました:
「汝は疲れてはいないか?善男子よ、汝が他の場所で行った化益(けやく)化益についてはどうであったか?」
観自在菩薩はこれに答え、過去に行った化益を説きました:
「私はこのようにこのようにして有情たちを救済しました。」
その時、虚空蔵菩薩はこれを聞いて、驚きと感嘆の念を抱きました:
「今私はこの観自在菩薩がこれほど多くの国土の有情を救済し、さらに如来と会い、その国土の有情をも救済している様子を目の当たりにするとは!」
その時、虚空蔵菩薩は観自在菩薩の前に立ち、観自在菩薩に問いました:
「そのような救済活動で疲れてはいませんか?』
観自在菩薩は答えました:
『私は疲れていません。』
その後、虚空蔵菩薩は再び黙然としました。その時、世尊は善男子たちに告げました:
「汝たちよ、よく聞くがよい!今から六波羅蜜多(ろっぱらみった)六波羅蜜多を説く。善男子よ、菩薩として生きるためには、まず布施波羅蜜多を修行すべきである。次に、持戒、忍辱、精進、静慮、般若波羅蜜多を修行し、このようにして円満に具足するのだ。」
この法を説き終わり、世尊は再び黙然としました。そしてその集会にいた者たちはそれぞれの場所へと戻り、菩薩たちもまた、それぞれの仏刹土へと帰りました。

「仏説大乗荘厳宝王経」巻第三

その時、除蓋障菩薩が世尊に申し上げました:
「観自在菩薩摩訶薩の過去の行いについて、仏からお話を伺いました。彼の菩薩にはどのような三摩地の門がありますか?どうか世尊、その門について私に説いてください。」
仏が告げました:
『善男子よ、その三摩地門とは、有相三摩地、無相三摩地、金剛生三摩地、日光明三摩地、広博三摩地、荘厳三摩地、旌旗三摩地、作荘厳三摩地、荘厳王三摩地、照十方三摩地、妙眼如意三摩地、持法三摩地、妙最勝三摩地、施愛三摩地、金剛幡三摩地、観察一切世界三摩地、楽善逝三摩地、神通業三摩地、仏頂輪三摩地、妙眼月三摩地、了多眷属三摩地、天眼三摩地、明照劫三摩地、変現見三摩地、蓮華上三摩地、上王三摩地、清浄阿鼻三摩地、信相三摩地、天輪三摩地、灑甘露三摩地、輪光明三摩地、海深三摩地、多宮三摩地、迦陵頻伽声三摩地、青蓮華香三摩地、運載三摩地、金剛鎧三摩地、除煩悩三摩地、師子歩三摩地、無上三摩地、降伏三摩地、妙月三摩地、光曜三摩地、百光明三摩地、光熾盛三摩地、光明業三摩地、妙相三摩地、勧阿修羅三摩地、宮殿三摩地、現円寂三摩地、大燈明三摩地、燈明王三摩地、救輪回三摩地、文字用三摩地、天現前三摩地、相応業三摩地、見真如三摩地、電光三摩地、龍厳三摩地、師子頻伸三摩地、莎底面三摩地、往復三摩地、覚悟変三摩地、念根増長三摩地、無相解脱三摩地、最勝三摩地、開導三摩地である。善男子よ、観自在菩薩摩訶薩は、これらの三摩地を持っているだけでなく、その一つ一つの毛孔において百千萬の三摩地を具えています。善男子よ、観自在菩薩摩訶薩の菩薩としての功徳は、このように極めて卓越しており、仏如来たちですら未だかつてないと称賛するほどの功徳を持っています。』」
「善男子、私は過去に菩薩であった時、500人の商人とともにランカー国(※8)に向かおうとしました。私たちは多くの車やラクダ、牛を連れて財宝を求めに行くため、その地へと旅立ちました。村々や町々を経て海岸にたどり着き、そこで大船に乗り込みました。私は船主に尋ねました:
『あなたは風の向きを見て、どの国に向かうかを決めてください。宝の島か、闍婆国か、それとも羅刹国ですか?』
 船主は風の向きを確認し言いました:
『この風はランカー国に向かうのに適しています』
そこで風に乗ってランカー国へと進みました。ランカー国には500人の羅刹女が住んでいました。突然、大きな嵐が発生し、激しい波が船を破壊しました。商人たちは海に投げ出され、波に揺られながら海岸にたどり着きました。そこで羅刹女たちが現れ、商人たちを見つけました。彼女たちはそれぞれ商人たちに近づき、誘い声(※63)で話しかけました。彼女たちは童女の姿をしていて、商人たちに衣服を与えました。
商人たちはその衣服を着て、自分の濡れた服を乾かすために彼女たちから離れました。そして、ジャムブーの樹(※47)の下で休みましたが、互いに議論しました:
『どのようにしてこの状況から抜け出すか』
何も解決策が見つからず、沈黙しました。その時、羅刹女たちは再び商人たちの前に現れと言いました:
『私たちには夫がいないので、夫になってくれる方はいませんか?ここには飲食物、衣服、財宝、庭園、浴池がたくさんあります』
そして、羅刹女たちはそれぞれ一人の商人を自分の住居に連れて行きました。羅刹女の中に一人、主人であるラティカラ(※17)という女がいました。彼女は私を自分の住居に連れて行き、豊富な食べ物を与えてくれました。私はその地で人間界とは変わらないほどの快楽を享受し、2、3、7日(数年?)とそこに滞在しました。ある日、突然そのラティカラが微笑んでいるのを見て、私は驚き、彼女に尋ねました:
『なぜ笑っているのですか?』
すると彼女はと言いました:
『このランカー国(※8)は羅刹女が住む場所で、あなたの命が危険にさらされるかもしれないからです』
私は彼女に尋ねました:
『どうしてそれを知っているのですか?』
彼女は答えました:
『南に行ってはいけません。そこには鉄の城があり、上下左右に囲まれた門のない城があります。その中には無数の商人たちが閉じ込められていて、ほとんどの者がすでに食べられてしまい、骨だけが残っています。もし行ってみれば、あなたは私の言葉を信じるでしょう』。
その夜、ラティカラが深く眠っている隙に、私は月光の剣を手に取り、南の道を進んで鉄の城に到着しました。城をぐるりと見回しましたが、門も窓もありませんでした。城のそばにジャムブーの樹があり、私はその木に登り、高声で呼びかけました。すると、城の中の商人たちが私に答えました:
『賢明な商主よ、私たちは羅刹女によってこの鉄の城に閉じ込められ、毎日100人が食べられています』
彼らは自分たちの過去の出来事を語り終えた後、私はジャムブーの樹から降り、南の道を急いでラティカラの元に戻りました。ラティカラは私に尋ねました:
『賢明な商主よ、鉄の城を見ましたか?』
私は答えました:
『見ました』
そして、私は彼女にさらに尋ねました:
『どのようにして私をここから出してくれるのですか?』
羅刹女は私に言いました:
『今、素晴らしい方法があります。それによって、あなたを無事に救い出し、南贍部洲(※46)に帰ることができるでしょう。』
彼女の言葉を聞いて、私は再度彼女に尋ねました:
『どの道を通って私はこの国を出ることができるのですか?』
その時、羅刹女は私に答えて言いました:
『聖なる馬王がいる。その馬王はすべての有情を救い出す力を持っているのです。』」
私はすぐにその聖なる馬王のもとへ向かい、彼が食べていた白い薬草を食べました。その後、馬王は金砂の地に横たわり、再び立ち上がり、身体を振って毛を払った後、こう言いました:
『誰が彼岸に渡りたいのか?』
馬王は三度繰り返して言いました:
『もし渡りたい者がいるなら、自ら申し出よ。』
そこで私は聖なる馬王に向かって言いました:
『私は今、そこに行きたい。』
そう言った後、再び羅刹女のもとに戻り、共に宿をとりました。やがて羅刹女が眠りから覚めると、彼女は後悔の念を抱き、私にこう尋ねました:
『商主よ、どうしてあなたの身体は冷たいのですか?』
私は彼女が私を行かせまいとしていることを知り、彼女にと答えました:
『夜中に外に出て用を足したために冷えたのです』
彼女は言いました:
『また眠りなさい。日が昇るまで休みましょう』
その後、私は商人たちに声をかけ言いました:
『今すぐこの城を出る準備をしなさい』
商人たちは全員城を出て、一か所に集まり話し合いました:
『今この中で誰の妻が最も愛してくれるのか?彼女たちの行為はどうだったか?』
ある者は言います:
『彼女は私に最高の食べ物を与えてくれた』
別の者は言いました:
『彼女は私にさまざまな衣服を与えてくれた』
またある者は言います:
『彼女は天冠や耳飾りを与えてくれた』
別の者は言いました:
『何も得られなかった。ただ心に満足しなかっただけだ』
また、他の者はと言いました:
『彼女は私にさまざまな香りを与えてくれた』
商人たちがこのように話し合った後、私は彼らに言いました:
『なぜあなたたちはこの羅刹女に執着するのですか?この羅刹女たちは恐ろしい存在で、彼女たちに捕まれば命を失うかもしれません』
商人たちはこの言葉を聞いて恐怖し尋ねました:
『商主よ、これは本当のことですか?』
私は答えました:
『このランカー国は羅刹女が住む場所であり、彼女たちは人間ではありません。本当に羅刹女です。このことを誓って、仏法僧が証明してくれるでしょう』
商人たちは私の言葉を聞き、私に尋ねました:
『どうすればこの難を逃れることができるでしょうか?』
私は答えました:
『このランカー国には聖馬王がいて、すべての有情を救うことができます。彼は白い薬草を食べ、 金の砂地で体を震わせます。彼は三度尋ねます:
『誰が彼岸へ行きたいか』
私は彼に答えました:
『私は彼岸へ行きたい』
商人たちは再び私に尋ねました:
『いつ出発するのですか?』
私は答えました:
『三日後に出発するつもりです。準備を整えてください』
彼らは城に戻り、それぞれの羅刹女の家に戻りました。羅刹女たちは彼らを迎え尋ねました:
『今日は疲れましたか?』
私は羅刹女に尋ねました:
『あなたは喜んでいる様子を見せたことがありませんが、この園林や浴池は本当にあるのですか?』
羅刹女は答えました:
『商主よ、このランカー国にはさまざまな楽しい園林や浴池があります』
私は彼女に言いました:
『私に適法な食料を準備してください。私は三日待って、さまざまな庭園や池を巡り、名花を見て、それを摘んで帰ります。』
すると、羅刹女は言いました:
『大商主、私はあなたのために食料を準備します』
その時、私は恐れていました。羅刹女が私の計画を知れば、私を殺すだろうと考え、しばらく黙っていました。羅刹女は美味しい食べ物を私に提供し、私はそれを食べた後、ため息をつきました。彼女は私にと尋ねました:
『大商主、なぜため息をつくのですか?』
その時、私は彼女に答えました:
『私は元々、南贍部洲の人で、自分の故郷を思い出しているのです』
彼女は答えました:
『大商主、故郷を思わないでください。このランカー国には、さまざまな食べ物や衣服、財宝、心地よい庭園や池があり、さまざまな楽しみが得られるのです。なぜ南贍部洲を思い出すのですか?』
私は再び黙っていました。そして、その日が過ぎ、二日目になると、彼女は私に食料を準備してくれました。商人たちも皆、食料を準備していました。三日目の朝になると、皆その国を出て話し合いました:
『今こそ、速やかに出発し、ランカー国に戻るべきではない』
そうして、私は彼らとともに、迅速に聖なる馬王の元へ向かいました。聖なる馬王の元に到着すると、馬は草を食べ、体を震わせました。その時、ランカー国全体が揺れ動き、馬王は三度叫びました:
『今、この中で誰が彼岸に渡りたい者か?』
商人たちは言いました:
『私たちは今、彼岸に渡りたい』
すると、聖なる馬王は体を大きく振り動かし、言いました:
『あなたたちは前進し、決してランカー国を振り返ってはならない』
聖なる馬王がこのように言うと、私はまず馬王に乗り、その後、五百人の商人が馬に乗りました。その時、ランカー国の羅刹女たちは、商人たちが去ることを知ると、苦しげな声を出して激しく泣き叫びながら後を追いかけました。商人たちはその声を聞いて振り返って見てしまい、驚いて海に落ち、その身を水に沈められました。羅刹女たちは彼らの体を捕らえ、その肉を食べました。私はただ一人、南贍部洲に到達しました。聖なる馬王が海岸に到着すると、私は馬を降り、彼の周りを三回回りました。礼を尽くした後、私はその場所を離れ、自分の家に戻る道を探し歩きました。そして、故郷に戻ると、両親は私が帰ってきたのを見て、私を抱きしめ、喜びと悲しみで涙を流しました。両親は私のために常に涙を流していたため、目がかすんでいましたが、私が帰ると、それが癒えて目が再び明るくなりました。その時、両親と私は一緒に過ごし、私はこれまでの苦しい経験をすべて話しました。両親はそれを聞いて、と言いました:
『今日、無事に帰ってきて、本当に安心しました。私たちはもうお前の財宝など必要ない。私たちは年老いてしまったので、そばで助けてもらい、出入りの手助けをしてもらいたい。そして、私たちが死んだ時には、お前が私たちを葬ってくれ』
昔、両親は私にそのような善い言葉で慰めを与えてくれましたが、私はその時、商主であり、このような危険な苦難に遭っていたのです。」

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第7課

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第6課

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第07課

「その時、観自在菩薩摩訶薩は、大力阿修羅王に言いました:
『私は今、祇樹林園へ行こうと思います。今日はその場所で大衆が集まる会合があります。』
その時、観自在菩薩は無数のさまざまな色の光明を放ちました。それは、青色の光明、黄色の光明、赤色の光明、白色の光明、玻璃のような光明、金色の光明などであり、このような光明が毘舎浮(※7)如来の前に向かって行きました。その時、天、龍、薬叉、羅刹娑、緊那羅(※24)、摩睺羅伽(※20)および人々がすべて集まりました。また、無数の菩薩摩訶薩もすべて集まりました。
その時、衆中に虚空蔵菩薩という名の菩薩がいて、座から立ち上がり、衣服を整え、右肩を露わにし、右膝を地につけ、恭敬の念を込めて合掌し、仏に向かって申し上げました:
「世尊よ、今この光明はどこから来たのでしょうか?」
仏は答えました:
「善男子よ、この光明は、観自在菩薩が大力阿修羅王の宮殿で放ったものであり、ここに至ったのです。」
その時、虚空蔵菩薩は世尊に申し上げました:
「私はどのような方便で、観自在菩薩を見ることができるでしょうか?」
仏は答えました:
「善男子よ、その菩薩もまたここに来るでしょう。」
観自在菩薩が大力阿修羅王の宮殿を出る時、祇陀林園には突然、天の妙華樹や天の劫波樹が現れました。また、無数の天人がさまざまな美しい色で装飾され、上には百種類の真珠の瓔珞が懸かり、さらに天界最高の衣(※58)やその他のさまざまな衣服が懸かっていました。樹の幹や枝は深紅の色で、金銀の葉が輝いていました。また、無数の微妙な香樹や優れた花樹があり、無数の宝池には百千の色とりどりの美しい花が満ちていました。このように現れた時、虚空蔵菩薩は世尊に申し上げました:
「その観自在菩薩は、今どうしてまだ来られないのでしょうか?」
仏は告げました:
「善男子よ、観自在菩薩は、大力阿修羅王の宮殿を出た後、ある場所に至ります。その場所は『黒暗』と呼ばれ、人が行くことのできないところです。善男子よ、その黒暗の場所には、日や月の光が届きません。しかし、『随願』という如意宝があり、常に光明を放って照らしています。そこには無数の薬叉たちが住んでおり、彼らは観自在菩薩がその場所に入るのを見て、心から喜び、踊りながら駆け寄り、観自在菩薩を迎えました。彼らは頭を地面につけて礼拝し、こう尋ねました:
『菩薩様、今お疲れではありませんか?しばらくこの黒暗の地には来られませんでしたね。』
観自在菩薩は言いました:
『私は諸々の有情を救うために来ました。』
その時、薬叉たちと羅刹たちは、天の金や宝でできた師子座を用意し、菩薩に座るように請いました。そして、菩薩は彼らに法を説きました:
『汝たちはよく聞きなさい。大乗経典には《大乗荘厳宝王経》という名の経があります。この経の中の四句偈を聞いて、それを受け持ち、読誦し、その意味を理解し、常に思惟する者は、その福徳は限りないものです。善男子よ、私がその微細な塵の数を数えることができたとしても、この経の四句偈を受け持つ者が得る福徳の数を数えることはできません。善男子よ、たとえ大海のすべての水を一滴ずつ数えることができたとしても、この経の四句偈を受け持つ者が得る福徳の数を数えることはできません。もし十二の恒河沙の如来たちが、十二劫の間、一つの場所に集まり、常に衣服、飲食、寝具、薬、その他の供養を施し続けても、その福徳の数は説き尽くすことができません。そのような福徳の数は、私がこの黒暗の地で説くことができないほどのものです。善男子よ、さらに四大洲の人々がそれぞれの住居を精舎に改造し、天の金や宝で千の仏塔を造り、それを一日にしてすべて成就させたとしても、その供養で得られる福徳は、この経の四句偈を受け持つことで得られる福徳に及びません。善男子よ、五大河が大海に流れ込むように、この経の四句偈を持つ者が得る福徳は、流れ続けて尽きることがありません。』
その時、薬叉と羅刹たちは、観自在菩薩に言いました:
「もし有情がこの大乗経を筆写するならば、その福徳はどれほどでしょうか?」
「善男子よ、その福徳は限りがありません。もし人がこの経を筆写するならば、それは八万四千の法蔵を書き写すことと同じです。その者は、四大洲を統治する転輪聖王となり、威徳を持ち、自由自在に行動し、美しい容貌を持ち、千人の子供たちに囲まれ、すべての敵が自然と服従します。もし誰かが常にこの経の名号を念じ続けるならば、その者は速やかに輪廻の苦しみから解脱し、老死、憂悲、苦悩から遠ざかります。その者は次に生まれる場所で過去の記憶を持ち続け、身体は常に牛頭栴檀の香りを放ち、口からは青い蓮華の香りが漂い、身体の相は円満であり、大きな勢力を持つでしょう。」
この法を説いた時、薬叉や羅刹の中には預流果を得た者もいれば、一来果を得た者もいました。彼らはこのように言いました:
「どうか菩薩様、ここに留まって、他の場所へは行かないでください。私は今、この黒暗の地に天の金や宝で仏塔を造り、さらに金や宝で経行の場所を造ります。」
その時、観自在菩薩摩訶薩は言いました:
「私は無数の有情を救い、すべてが菩提道を得るように導くために、他の場所へ行かなければなりません。」
その時、薬叉や羅刹たちはみな頭を下げ、手で顔を支えながら、考え、思いました:
「今、観自在菩薩摩訶薩がここを去るならば、後に誰が私たちに微妙な法を説いてくれるのだろうか?」
観自在菩薩摩訶薩はその場を去り、薬叉や羅刹たちはみな従って送りました。観自在菩薩摩訶薩は言いました:
「あなたたちはここまで来たが、もう自分の住んでいる場所に戻りなさい。」
その時、薬叉や羅刹たちは頭を地面に着け、観自在菩薩摩訶薩の足を礼拝し、その後、自分たちの住処に戻りました。
「その時、観自在菩薩摩訶薩は、火焔のように虚空に上昇し、天宮へと向かい、そこにバラモンの姿を現しました。天衆の中に『妙厳耳』という名の天子がいて、常に貧しさと苦しみを受けていました。その時、観自在菩薩がバラモンの姿を現し、その天子のもとに赴き、こう言いました:
「私は飢えと渇きに苦しんでいる。」
その時、天子は涙を流しながらバラモンに告げました:
「私は今、貧しくて何も奉げるものがありません。」
バラモンは言いました:
「私は食物を必要としている、せめて少しでも分け与えてほしい。」
そこで、その天子は宮殿に戻り、持っているものを探しましたが、突然、数々の大きな宝器が見つかり、その中には異なる宝物が満たされていました。さらに、宝器には上等な飲食物がいっぱいに盛られ、また上妙な衣服も宮中に満ちていました。その時、天子は心の中で考えました:
「今、この門の外にいるバラモンは、確かに不可思議な存在であり、私にこのような素晴らしい福徳をもたらしてくれたのだ!」
そして、その天子は大バラモンを宮殿に招き入れ、天の宝物と天上の上味の飲食物を捧げて供養しました。バラモンは供養を受けた後、呪文を唱えて天子の長寿と安楽を願いました。その時、天子はバラモンに尋ねました:
「賢者はどこから来られたのですか?」
バラモンは答えました:
「私は祇陀林大精舎から来ました。」
天子はさらに尋ねました:
「その場所はどのような所ですか?」
バラモンは言いました:
「その祇陀林の精舎には、清浄な土地があり、天の摩尼宝で荘厳された劫樹が生えており、また様々な摩尼宝が心地よく現れ、様々な宝池が見られます。また、その場所には戒徳を持ち、大いなる智慧を持つ無数の大衆が現れ、そこには『毘舎浮(※7)如来』という仏がおられます。そこは聖なる天の住む地であり、様々な変化が現れるのです。」
その時、天子は言いました:
「賢者、どうか誠実にお話しください。あなたは天人なのですか、人間なのですか?賢者よ、なぜこのような瑞祥が現れたのですか?」
バラモンは答えました:
「私は天人でもなく、人間でもありません。私は菩薩であり、一切の有情を救い、大菩提道を見せるために来たのです。」
天子はこの話を聞いて、天の妙宝の冠と装飾品で身を飾り、バラモンに供養を捧げ、次の偈を唱えました:
私は功徳の地に出会い 諸々の罪垢を遠離した
今最勝の田に種を蒔き すぐにその果報は現れる
「その時、天子が偈を唱えると、そのバラモンは教え導いて化度を終え、天宮を出て即座にランカー国(※8)へ向かいました。到着すると、羅刹女たちの前に立ちました。その姿は端正で美しく、非常に珍しい色彩を持っていました。羅刹女たちはその容姿を見て欲望を抱き、欣慕の気持ちが湧きました。そして、一歩近づいて彼に告げました:
『私は童女であり、まだ嫁いだことがありません。どうか私の夫となってください。ここに来たからには他の場所に行かないでください!主がいない者には主が必要であり、暗い部屋には明かりが必要なように、私はあなたを必要としています。ここには飲食物や衣服が豊富にあり、快適な果樹園や心地よい水池もあります。』
 バラモンは羅刹女に言いました:
『まずは私の話を聞いてください。』
羅刹女は答えました:
『もちろん、どうぞお話ください。』
バラモンは言いました:
『私は今、八正道の教えと四聖諦の法をあなたに説きます。』
その時、羅刹女たちはこの法を聞いて、それぞれが果を得ました。ある者は預流果を得、またある者は一来果を得ました。彼女たちは貪り、怒り、無知という苦しみから解放され、悪しき心を抱かず、殺生の意図を持たず、法を楽しみ、戒を守ることを喜びとしました。そして言いました:
『私は今からはもう殺生をせず、南贍部洲の戒を守る人々のように、清らかな食事を摂り、このように生きていきます。』
こうして、羅刹女たちは悪業を行わず、学びを守って生きることを決意しました。」
「観自在菩薩摩訶薩はランカー国を出発し、ヴァーラーナシ(※9)の大都市の穢れた場所に向かいました。そこには無数の虫や蛆が住み着いていました。観自在菩薩はそれらの有情(生きとし生けるもの)を救済するために、蜂の形を現し、そこに向かいました。そして、その口から声を発しました:
『नमो बुद्धाय(※62)
その声を聞いた虫たちは、同じように称念し始めました。この力によって、彼らの身見(自己への執着)は山のように大きかったにもかかわらず、金剛の智杵(智慧の武器)によってすべて打ち砕かれ、彼らは極楽世界に往生しました。彼らは皆、妙香口という名の菩薩となりました。」

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第6課

 

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第4課

ケンポ・ソダジによる『仏説大乗荘厳宝王経』第05課 は口伝のみとなります。
ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第06課

その時、那羅延天が現れ、一日はハエの姿となって訪れ、また一日はハチの姿となり、また一日はブタの姿となり、また一日は非人の姿となるなど、このように毎日姿を変えながら探っていた。私はその時、心の中でバラモン(※12)の法を実践することを考えた。那羅延天はこの法の実践を見て、銅窟に来て破壊を行い、門上にある七つの山を次々に取り除き、それぞれ異なる場所に投げ捨て、大声で閉じ込められていた人々に向かって叫んだ。
「無勝天子たちよ、あなたたちは大きな苦しみを受けているが、命を保っているのか、それともすでに死んでしまったのか?」
この呼びかけを聞いた人々は声に応じて答えた:
「私たちはまだ生きています。那羅延天尊、大いなる力と精進によって、私たちを苦しみから救ってください!」
その天は銅窟の七重の門を破壊し、その時、窟内にいた小王たちは、束縛から脱することができて那羅延天に会うことができた。彼らはそれぞれ心の中で思った:
「大力阿修羅王はすでに死んだのか、それとも今まさに死の時が来たのか?」
クシャトリヤ(※13)たちはさらにこう言った。「私は彼と戦って敵を倒し、土地を得て死ぬほうがよい。この禁縛を受けて死ぬべきではない。今こそクシャトリヤの法に従って彼と戦い、もし死ぬならば天国に生まれるのだ。」
その時、小王たちはそれぞれの宿舎で馬車を整え、武器を持ち、大戦を挑もうとした。その時、那羅延天はバラモンの姿に変わり、体は小柄で、鹿皮を身にまとい、手には三つ叉の杖を持ち、携帯物(座布団のような座る物)を持って私の門までやって来た。その時、門番は彼に向かって言った:
「この門に入るべきではない、小柄な者よ、ここに入るな!」
バラモンは言った:
「私は遠くからここに来たのだ。」
門番はバラモンに尋ねた:
「どこから来たのか?」
バラモンは言った:
「私は月氏国王のもとから来た大仙人だ。」
その時、門番は大力阿修羅王のもとに行って報告した:
「今、バラモンが来ましたが、彼は小柄な者です。」
大力阿修羅王は言った:
「その者が何を求めて来たのか?」
門番は言った:
「彼が何を求めているのかはわかりません。」
大力阿修羅王は言った:
「彼をここに連れて来い。」
門番は命令に従い、バラモンを中に招き入れた。大力阿修羅王は彼を見て、宝座に座らせた。 大力阿修羅王の師である金星はすでにその場におり、大力阿修羅王に言った:
「このバラモンは悪人であり、ここに来てあなたを破壊するのは確実です。」
大力阿修羅王は尋ねた:
「師よ、なぜそれを知っているのですか?」
師は言った:
「私はこれを知っている。」
大力阿修羅王は言った:
「彼がどのような姿をしているのかを知っているのか?」
師は言った:
「これは那羅延天です。」
この話を聞いた後、大力阿修羅王は心の中で思った:
「私は施しを行って裏切らない。今、彼は私を妨げ、破壊しに来たのだ。」
大力阿修羅王は言った:
「私は口が達者なので、まずはバラモンに何のためにここに来たのか尋ねるべきだ。」
バラモンは言った:
「私は王から二歩分の土地を求めています。」
阿修羅王はバラモンに言った:
「お前が求める土地は二歩分だが、私はお前に三歩分の土地を与えよう。」
そして金の瓶に清水を入れ、彼に渡して言った:
「土地を求めるならば、これを受け取れ。」
バラモンはそれを受け取り、呪いをかけて長寿と安楽を願った。その時、バラモンの小柄な姿は消えた。その時、金星は阿修羅王に言った:
「今、あなたは悪業の報いを受けるだろう。」
その時、那羅延天が突然姿を現し、両肩に太陽と月を背負い、手に鋭い剣、輪、棒、弓矢などの武器を持っていた。その時、大力阿修羅王は突然それを見て恐怖におののき、倒れて地に伏し、しばらくしてから起き上がった:
「今、どうすればいいのか?私は毒を飲んで死ぬべきか?」
その時、那羅延天は土地を歩いて測り、たった二歩分で三歩分には足りなかった:
「最初に約束したことに反して、今どうすればいいのか?」
那羅延天は王に言った:
「今、あなたは私の教えに従わなければならない。」
その時、大力阿修羅王は言った:
「私はあなたの教えに従います。」
那羅延天は言った:
「本当にそうですか?」
大力阿修羅王は言った:
「本当にそうです。この言葉は真実で、後悔や吝嗇の心はありません。」
その時、私はバラモンの教えに基づいて行った儀式の場所をすべて破壊し、金銀の宝物、美しい少女たち、衣服、宝鈴、傘蓋、素晴らしい払子、獅子の宝座、宝で飾られた黄牛、およびその他の宝で飾られた道具などをすべて破壊し、その時、集まっていた小王たちがそれらをすべて受け取り、大力阿修羅王が儀式を行っていた場所から出て行った。」
大力阿修羅王は観自在菩薩摩訶薩に言った:
「今、私は身心ともに思惟し、過去にバラモンの法に依って広大な布施の会を設けたが、その布施の対象が不浄であったため、私と私の眷属は、この鉄窟に閉じ込められ、大きな苦しみを受けているのです。観自在よ、私は今、帰依し、哀れみを垂れて、私たちをこの苦難から救い出してください。」
そして賛嘆して言いました:
大悲蓮華手に帰命します   大蓮華王、大吉祥
種種の荘厳の妙色身     首髻、天冠、厳かなる衆宝を帯ぶ。
頂戴するは弥陀の一切智   救度する有情は無数なり。
病苦の人が安楽を求めれば  菩薩は現身して医王と王となる。
大地は眼として日を明かにし 最上の清浄微妙なる眼
照して有情を矚れば解脱を得 解脱を得て妙相応す
猶し如意の摩尼宝の如く   真実の妙法蔵を能く護り
恒に六波羅蜜を説き     この法を称揚し大智を具う
我今虔懇至りりて帰依し   大悲の観自在を讃嘆す
有情は菩薩の名を憶念して  苦を離れて解脱し安隠を得ん。
悪業を作せば黒繩に墮ち   および大阿鼻地獄道に墮つ。
諸もろの餓鬼苦趣の者たちも 名を称え恐怖し皆解脱せん
かくのごとき悪道の諸有情も 悉く苦を離れ安楽を得ん。
若し人が恒に大士名を念ぜば まさに極楽界に往生し
如来、無量寿に面を見し、  妙法を聴聞し無生を証すべし。
「その時、観自在菩薩摩訶薩は、大力阿修羅王に対して授記を行い、次のように述べました:『汝は未来において仏と成り、吉祥如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏世尊と号されるであろう。汝はその時に、六字大明総持の門を証し、現在の一切の阿修羅王を未来において悉く救度するであろう。この仏刹においては、貪・瞋・癡という声は一切聞こえないであろう。』
その時、大力阿修羅王はこの授記を聞いて、百千の真珠や瓔珞、さらに種々の妙宝で荘厳された百千・万数の天冠や耳飾りを奉げ、受け取っていただけるよう願いました。
その時、観自在菩薩摩訶薩は、大力阿修羅王に対して次のように述べました:
『私は今、汝のために法を説く。汝はよく聞き、よく考えなさい。人生は無常であり、その命は幻のようであり、長く保つことはできない。汝らは常に心の中で、貪欲と愛着を持ち、大いなる福徳を求めるが、心は常に奴婢や人民、穀物や倉庫、大きな財宝を愛し楽しんでいる。また、父母や妻子、その他の眷属を愛し楽しんでいる。しかし、このような物事は、いくら愛し楽しんでいても、夢のように儚く、命が終わるときには何も助けにはならない。南贍部洲を離れることはできず、命終の後には倒錯した状態で、大奈河の膿と血が満ち溢れる流れを見る。また、猛火が燃え盛る大樹を見て、これらの光景を目にすると、心に大きな恐怖を抱く。その時、閻魔の獄卒が繩で縛り、鋭い刃の道を急いで引き摺り回す。歩くたびに足が切り裂かれ、無数のカラスやウミワシ、グルルル鳥、そして狂犬などが襲いかかり、体を食いちぎられる(※77)。そして、大地獄で極限の苦しみを受けることになる。歩くたびに鋭い棘が十六指分も伸び、一歩ごとに五百の棘が足に刺さり、苦しみと泣き叫びの声が響き渡る。
『私たちは愛着によって罪を作り、今、大きな苦しみを受けている。どうすればよいのか?』と悲嘆する。
閻魔の獄卒は言う:
『汝は過去において、一度も沙門に食物を施したことがなく、法を聞いたこともなく、塔や像を巡り歩いたこともない。』
その時、罪人たちは閻魔の獄卒に言う:
『私は仏法僧に対して罪を犯し、信仰を理解せず、敬意を払わず、常に遠ざかっていた。』
獄卒は答える:
『汝は自らの手でさまざまな悪業を積み重ねたため、今その報いを受けている。』
獄卒は罪人たちを閻魔王の元へ連れて行き、閻魔王の前に立たせる。閻魔王は言う:
『汝らは業報の場へ向かうがよい。』
その時、閻魔の獄卒は罪人たちを黒縄大地獄へと連れ、そこに投げ入れる。投げ入れられた罪人たちは、百本の槍で身を貫かれても命を失わず、さらに二百本の大槍で身を貫かれても命は続き、最後に三百本の大槍で一斉に刺されても命は尽きない。命が続く限り、彼らは大火坑に投げ込まれ、そこで熱鉄の丸薬を口に入れられ、喉を焼き尽くし、内臓や腸は煮えたぎり、全身が焼け爛れる。」
観自在菩薩は続けて大力阿修羅王に言いました:「この苦しみを受けている時には、誰一人として救いの手を差し伸べる者はいない。汝はこれを知りなさい。私は今、汝のためにこの法を説いた。汝らは自ら福を作るために行動しなさい。」

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第4課

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第3課

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第04課

「その時、宝手菩薩は世尊に言いました:
『私はこれまで見たことも聞いたこともありませんでした。諸仏如来の中で、このような福徳を持つ者がいるとは。世尊、観自在菩薩は菩薩の位にありながら、どのようにしてこのような福徳を持つのでしょうか?』
仏は答えました:
『善男子、この世界だけでなく、他の方の無数の如来応正等覚が集まっても、観自在菩薩の福徳の量を尽くして述べることはできません。善男子、この世界でもし誰かが観自在菩薩摩訶薩の名前を念じることができれば、その人は将来、生老病死の輪廻の苦しみから遠く離れることができます。これは、ガチョウの王(※15)が風に乗って飛ぶように、速やかに極楽世界に往生し、無量寿如来を直接見ることができ、妙法を聞くことができるからです。こうした人は永遠に輪廻の苦しみを受けることはなく、貪り、瞋り、愚痴、老い、病、死、飢饉の苦しみを受けることもありません。胎内にいるときに伴う苦しみも受けず(※16)、法の威力によって蓮華から生まれ、常にその地に住まうことになります。観自在菩薩摩訶薩は一切の有情を救い、皆が解脱し、堅固な願いが満たされるのです。』
その時、宝手菩薩は世尊に言いました:
『この観自在菩薩はいつ、すべての有情を救い、皆を解脱させ、堅固な願いを満たすのでしょうか?』
世尊は答えました:
『有情は無数であり、常に生死の輪廻を受け続け、休むことがありません。この観自在菩薩は、そのような有情を救い、菩提の道を証し、さまざまな有情の種類に応じて姿を現し、法を説いて救います。仏の身によって救われるべき者には仏の身を現して法を説き、菩薩の身によって救われるべき者には菩薩の身を現して法を説きます。縁覚の身によって救われるべき者には縁覚の身を現し、声聞の身によって救われるべき者には声聞の身を現して法を説きます。また、大自在天の身によって救われるべき者には大自在天の身を現し、那羅延の身によって救われるべき者には那羅延の身を現して法を説きます。梵王の身によって救われるべき者には梵王の身を現し、帝釈(※21)の身によって救われるべき者には帝釈(※21)の身を現して法を説きます。日天子の身によって救われるべき者には日天子の身を現し、月天子の身によって救われるべき者には月天子の身を現して法を説きます。火天の身によって救われるべき者には火天の身を現し、水天の身によって救われるべき者には水天の身を現して法を説き、風天の身によって救われるべき者には風天の身を現して法を説きます。龍の身によって救われるべき者には龍の身を現し、毘那夜迦(※19)の身によって救われるべき者には毘那夜迦(※19)の身を現して法を説きます。薬叉の身によって救われるべき者には薬叉の身を現し、多聞天王の身によって救われるべき者には多聞天王の身を現して法を説きます。人王の身によって救われるべき者には人王の身を現し、宰官の身によって救われるべき者には宰官の身を現して法を説き、父母の身によって救われるべき者には父母の身を現して法を説きます。善男子よ、観自在菩薩摩訶薩は、有情が(機根に従って)救われるべき姿に応じてその身を現し、法を説きます。すべての有情を救い、彼らを如来の涅槃の地に至らせます。」
「その時、宝手菩薩は世尊に言いました:
『私はこれまで、このような不可思議で稀有な事を見たことも聞いたこともありません! 世尊、観自在菩薩摩訶薩がこのように不可思議で、かつてなかった事実をお持ちとは!』
仏は答えました:
『善男子よ、この南贍部洲は金剛窟であり、そこには無数の阿修羅が住んでいる。善男子よ、観自在菩薩摩訶薩は阿修羅の身を現し、彼らにこの《大乗荘厳宝王経》を説きます。阿修羅(※18)たちはこの経を聞いて、皆慈悲と善なる心を発し、手を合わせて観自在菩薩摩訶薩の足を捧げ、この正法を聞いて安楽を得ます。もし人がこの経王を聞き、これを読誦するなら、その人がどんな五無間業を犯していたとしても、すべて消除されます。命終の際には、十二の如来がその人を迎えに来て告げます「善男子よ、恐れることはない。あなたはこの《大乗荘厳宝王経》を聞いたのですから」と。そして、その人にさまざまな道を示し、極楽世界に生まれ変わることを約束します。そのとき、微妙な蓋、天の冠、耳飾り(※59)、上質な衣服が現れます。このような相が現れたなら、その人は命終後、確実に極楽世界に往生します。宝手よ、観自在菩薩摩訶薩は、最も勝れた無比の存在として阿修羅の身を現し、彼ら阿修羅が涅槃の地に至るよう導くのです。』」
その時、宝手菩薩は頭を地に着け、世尊の足を礼拝し、礼拝を終えて退きました。

「仏説大乗荘厳宝王経」巻第二

「その後、尸棄(※6)如来の時代が過ぎて、また新たに毘舎浮(※7)如来という名の仏が出現しました。
その仏もまた、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏世尊として称えられました。除蓋障よ、私はその時、忍辱仙人として深い山中に住んでいました。その場所は険しく険阻で、人が到達することのできないような場所であり、私は長い間そこに住んでいました。
その時、私は彼の如来のもとで、観自在菩薩摩訶薩の威神功徳を聞きました。」
「この観自在菩薩は金地に入り、覆面をした有情たちのために現身し、彼らに妙法を説いて八聖道を示し、すべてを涅槃の地へと導きました。その後、観自在菩薩はこの金地を出て、銀地に入りました。銀地にはすべて四足の有情が住んでおり、観自在菩薩は彼らを救い、説法を行いました:
『汝らは正法をよく聞き、心を発して慎重に思惟せよ。今、私は汝らに涅槃の資糧を示す!』
その有情たちは観自在菩薩の前に立って居て、こう申し上げました:
『目が見えない有情を救って開明し、道を見ることができるようにし、頼るもののない者には父母のように頼りを与え、暗い道の中では明るい炬火を灯して解脱の正道を示してください。有情が菩薩の名号を念じることで安楽を得るならば、私たちも常にその苦難を乗り越えることができます。』
その時、これらすべての有情は《大乗荘厳宝王経》を聞き、その後、安楽を得て不退地に至りました。」
その時、観自在菩薩摩訶薩はこの地を出て、鉄地に入りました。そこには大力の阿修羅王が禁じられていました。菩薩がその場所に向かうと、仏のような姿を現しました。
「その時、大力の阿修羅王は遠くからやって来て、観自在菩薩摩訶薩を迎えました。阿修羅王の宮殿には無数の眷属があり、その多くは背が曲がり、醜い姿をしていました。そのような眷属たちも皆やって来て、観自在菩薩摩訶薩の足を親しく拝礼し、そして偈を唱えて言いました:
私は、今、有意義な結果を得ました 私の願いはすべて満たされました。
実現したい希望するところは、私の正しい見方です。
「『私と私の眷属は、菩薩を見たことで安楽を得ました。』そう言って、観自在菩薩に宝座を献げ、恭敬の意を表して合掌し、次のように申し上げました:
『私たちの眷属は、昔から邪淫を好み、常に怒りを抱き、生命を殺すことに愛着を持ち、罪業を積み重ねてきました。そのため、私は心を痛め、老死と輪回の恐怖に悩まされており、苦しみと不安に満ちています。どうか、私たちを憐れみ、救い、解脱の道を説いてください。』
観自在菩薩は言いました:
『善男子、如来である仏は常に乞食をしており、その施しによって得られる福徳は無限であると説かれています。善男子よ、私の身だけでなく、阿修羅窟においても、この福徳を尽くして説くことはできません。たとえ十二のガンジス川(※2)の砂数ほどの如来が一堂に集まっても、この福徳の数を尽くすことはできません。善男子、すべての微塵の数を私は数えることができます。善男子、如来に施す食物の福徳の数は、私には尽くせません。善男子、また、大海の水の一滴一滴を数えることができるように、如来に施す食物の福徳もまた尽くせません。善男子、さらに、四大洲のすべての男性、女性、童子、童女を田畑に植え、芥子だけを種として育て、雨を降らせる龍によって芥子が熟すように、すべての地を耕し終えた場を一つとし、これを数えることができます。善男子、施す食物の福徳は、このように数え切れません。善男子、また、妙高山王の水の量を数えることができるように、山王の水を海に満たすように、四大洲のすべての書物を数え終えることができます。善男子、施す食物の福徳もまた、同様に数え切れません。善男子、すべての書かれた文字の数を数えることができるように、如来に施す食物の福徳もまた、尽くすことができません。善男子、また、ガンジス川の砂数の大海のすべての砂の数を数えることができるように、施す食物の福徳もまた、尽くすことができません。』」
「その時、大力阿修羅王はこれを聞き、顔に涕涙が溢れて流して、心を痛め懊悩し、咽び泣きながら、 観自在菩薩摩訶薩へ申し上げた:
『私のかつて行っていた布施は、施し対象が汚れた非法で正しいことではありませんでした。このため、私と眷属は今や悪趣に囚われ、その業の報を受けています。しかし今なぜ少量の食物が如来に捧げた時、甘露に変わるのでしょうか?私は以前から愚かで無知であり、外道のバラモン(※12)の法を実践していました。その時、貧相な風貌の男が私のもとに来て、必要な物を求めました。私は種々の宝冠、金銀の耳飾り、上妙な衣服、宝飾品、そして浴器などを揃え、また百千の象馬、宝車、真珠や装飾品や房が吊るされた飾り付け、さらに無数の宝蓋や宝網を広げ、その上に宝の鈴を吊り下げて『チンチン』(※56)響かせました。
さらに千頭の美しい毛並みの黄牛を用意しました。白銀の蹄、黄金の角、真珠や様々な宝石で飾り付けました。また、千人の容貌端麗で天女のように美しい姿の童女を用意し、金宝の耳飾りや天冠を戴き、多様な美しい衣服、間に宝石をはめ込んだ帯や指輪腕輪、桜の飾り妙な華飾りなどを様々に飾り付けました。その上、雑多な宝石の座席を用意し、金銀や雑宝が無数積まれ、数百千頭の牛とその牧人も集まり、天上の美味しい飲食物も数多く用意し、また、無数の宝鈴や無数の金銀の獅子座、無数の妙な金柄の払子、七宝の華麗な傘なども用意しました。
これらの大施しを行った際、百千の小王や百千のバラモン(※12)、数百千万のクシャトリヤ(※13)たちが集まりました。その時、大地を統治した大勢力となった当時最も尊いとされた私は心に疑念を抱き怪しみました。私はバラモンの法に従い、過去世の悪業を悔い、クシャトリヤたちとその妻子や眷属を殺害し、その心臓や肝臓を割いて取り出して天に祀り、罪を滅ぼししようとしました。そして数百万のクシャトリヤたちや小王たちは枷で縛られ、銅の洞窟に囚えて鉄の杭を設置して鉄の鎖でクシャトリヤたちの手足が縛りました。その窟に門を設け、普通の木を第一の門とし、アカシアという木(※3)を第二の門とし、鉄を第三の門とし、焼いた銅を第四の門とし、生の銅を第五の門とし、銀を第六の門とし、金を第七の門としました。七重の門にはそれぞれ五百の鍵をかけ、さらに各門には山を設置しました。』

《以下漢文》

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第3課

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第2課

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第03課

その時、除蓋障菩薩は再び仏に申し上げました:
「世尊、観自在菩薩摩訶薩は、あの苦しみを救った後、再びこの会の中に戻ってこられるのでしょうか?」
仏は除蓋障菩薩に告げました:
「善男子よ、その観自在菩薩摩訶薩は、大阿鼻地獄を出た後、再び餓鬼の大城に入った。そこには無数の餓鬼がおり、口から火焔を吐き、顔や体を焼き尽くし、形は痩せ細り、頭髪は乱れ、体毛は逆立っている。腹は山のように大きく、喉は針のように細い。その時、観自在菩薩摩訶薩は餓鬼の大城に向かい、城の熾燃する業火をすべて消し、清涼に変えた。すると、門を守る鬼が熱鉄棒を持ち、醜い姿をして目が深紅に染まっていたが、慈悲の心を起こし、『私はこのような悪業の地を守ることはできない』と思った。その時、観自在菩薩摩訶薩は大悲の心を起こし、十指の端からそれぞれ河を出し、また足指からもそれぞれ河を出した。そして、一つ一つの毛孔からも大河を出した。その水を餓鬼たちは飲み、その水を飲んだとき、喉は広がり、体の形も完全になり、様々な上等な食べ物や飲み物を得て満腹になった。これらの餓鬼はこのような利益と安楽を得た後、それぞれが心の中で深く考えた。南贍部洲(※46)の人々はなぜ常に清涼で安穏な快楽を受けているのか。
その中には、常に父母を敬い養う善行を行う者がいるのか、または善知識を尊び施す者がいるのか。
大乗を好む聡明で賢明な者がいるのか、八聖道を行う善人がいるのか、法の鐘(※74)を打つ善人がいるのか、壊れた僧伽藍を修復する善人がいるのか、壊れた仏塔を修復する善人がいるのか、法師を供養し尊重する善人がいるのか、如来が歩んだ(経行)場所を見る善人がいるのか、菩薩が歩んだ場所を見る善人がいるのか、辟支仏が歩んだ場所を見る善人がいるのか、阿羅漢が歩んだ場所を見る善人がいるのか、と考えた。そして、南贍部洲にはこのような修行があるのだと思いを巡らせた。
その時、この《大乗荘厳宝王経》から自然と微妙な声(音)が発せられた。餓鬼たちはその声(音)を聞き、自分の体が山のように大きいという執着や煩悩を持っていたが、金剛の智杵によって完全に(有身見が)破壊され、すべてが極楽世界に生まれ変わり、『随意口』という名の菩薩となった。その時、観自在菩薩摩訶薩はこの苦しみを救った後、また他の方角の世界に向かい、有情を救済した。」
その時、除蓋障菩薩が再び仏に申し上げました:
「世尊、観自在菩薩摩訶薩は、ここに来て有情を救済するのでしょうか?」
仏は告げました:
「善男子よ、この観自在菩薩は、無数の百千倶胝(※76)那庾多(※64)の有情を救済し、絶え間なく活動しています。その威力は如来をも超えています。」
除蓋障菩薩が言いました:
「世尊、観自在菩薩摩訶薩は、どのようにしてそのような大いなる威神力を持つのでしょうか?」
仏が善男子に告げました:
「過去の劫において、一人の仏が世に出ました。その名は毘婆尸如来であり、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏世尊です。私はその時、一人の長者の家に生まれ、その名を『妙香口』と名づけられました。その仏のもとで、観自在菩薩の威神功徳について聞きました。」
その時、除蓋障菩薩が仏に言いました:
「世尊、あなたが観自在菩薩摩訶薩の威神功徳を聞かれたということですが、その内容はどのようなものでしょうか?」
仏はこう言われました:
「観自在菩薩は、その目から太陽と月を出し、額から大自在天を、肩から梵王天を、心から那羅延天を、牙から大辯才天を、口から風天を、臍から地天を、腹から水天を、それぞれ生じさせました。観自在菩薩がこのように諸天を生じさせた時、観自在菩薩は大自在天子に告げました:
『あなたは未来の末法の世において、衆生の中で邪見に執着する者がいることを知るでしょう。彼らは、あなたが無始以来の大主宰であり、すべての有情を生じさせると考えるでしょう。その時、彼らは菩提道を失い、愚かな迷いの中でこのように言うでしょう:
『この虚空の大きな体 大地を座とし 境界と有情は すべてこの体から生じる』
このように善男子よ、私は毘婆尸(※5)如来のもとでこの教えを聞いた。その後に尸棄(※6)如来という名の仏が現れました。彼は応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、そして仏世尊として知られています。除蓋障よ、その時私は勇施菩薩摩訶薩(※4)として、観自在菩薩摩訶薩の威神功徳についてその仏のもとで聞きました。」
除蓋障が言った:
「世尊、観自在菩薩摩訶薩の威神功徳について、どのような事があったのでしょうか?」
その時、その会中には宝手菩薩摩訶薩がいました。彼は座から立ち上がり、右肩を露わにし、右膝を地につけ、合掌して恭敬に世尊に向かい尋ねました:
『何の因縁でこのような瑞相が現れたのでしょうか?』
仏は答えました:
「善男子、極楽世界の観自在菩薩摩訶薩がこちらに来ようとしているため、この瑞相が現れたのです。
『その観自在菩薩がここに来る際には、様々な劫樹(※57)、華樹が現れ、白い睡蓮(※35)の樹やジャムブー華樹(※48)も出現しました。また、様々な華が満ちる宝池の樹が現れ、そこから種々の妙華が降り注ぎました。また、諸々の宝物である摩尼、真珠、瑠璃、螺貝、碧玉、珊瑚などが降り注ぎ、さらに天衣が雲のように降りてきました。その時、祇樹給孤独園には七つの宝が現れました。それは、金輪宝、象宝、馬宝、珠宝、女宝、主蔵宝、主兵宝と呼ばれるものであり、その七宝が出現した時、その地はすべて金色に変わりました。その時、観自在菩薩摩訶薩が極楽世界から出発した際には、大地が六度(六種)震動しました。』」
「その時、宝手菩薩摩訶薩が世尊に向かい尋ねました:
『どのような因縁でこの瑞相が現れたのでしょうか?』
仏は答えました:
『善男子、それは観自在菩薩摩訶薩がこちらに来るために現れた瑞相です。』
その時、さらに適した妙華や妙蓮華が降り注ぎました。観自在菩薩は金色の光明を放つ千葉の蓮華を手に持ち、仏のもとに来て仏の足を礼拝し、その蓮華を世尊に奉げました:
『この華は無量寿仏からで、いいつけで私が持って来ました。』
世尊はその蓮華を受け取り、左側に置きました。仏は観自在菩薩摩訶薩に言いました:
『今、あなたが示している神力と功徳の荘厳は、どのようなものなのでしょうか?』
観自在菩薩は言いました:
『私はすべての悪趣に堕ちた有情を救うために、すなわち、すべての餓鬼、阿鼻地獄、黒繩地獄、等活地獄、焼き尽くす地獄、煎じられる地獄、鍋の湯地獄、寒氷地獄などの大地獄にいるすべての衆生を救い出し、最終的には阿耨多羅三藐三菩提を得させるために行っています。』
観自在菩薩はこのように語った後、仏の足を礼拝し、その礼が終わると突然姿を消し、火焰のように虚空に入っていきました。
その時、宝手菩薩は言いました:
「世尊、私は今疑問があります。観自在菩薩がこのような神力を現すのは、どのような福徳によるのでしょうか?」
仏は答えました:
「善男子、もしもガンジス川(※2)の砂の数だけの如来が出現し、それぞれに天の妙衣や袈裟、飲食物、湯薬、座具、寝具などを供養したとしたら、得られる福徳は、観自在菩薩の一毛の端に等しいのです。善男子、また四大洲が一年の十二ヶ月の昼夜の間に降る大雨の一滴一滴を数えたとしても、観自在菩薩の福徳を数えることはできません。善男子、大海の深さと広さが八万四千由旬(※55)であるように、四つの大海の水の一滴一滴を数えたとしても、観自在菩薩の福徳を数えることはできません。善男子、また四大洲にいる四足の動物(四足の衆生)、すなわちライオン、象、馬、虎、狼、熊、鹿、牛、羊など、すべての四足の動物の体にある毛の数を数えたとしても、観自在菩薩の福徳を数えることはできません。善男子、また天の金宝で微塵の数だけの如来像を造り、それぞれに供養を行ったとしても、得られる福徳は数えることができても、観自在菩薩の福徳を数えることはできません。善男子、またすべての樹林の一葉一葉を数えたとしても、観自在菩薩の福徳を数えることはできません。善男子、また四大洲にいるすべての男子、女人、童男、童女が、それぞれ預流果、一来果、不還果、阿羅漢果、縁覚、菩提を得たとしても、その福徳と観自在菩薩の一毛の端の福徳は同じなのです。」

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第2課

 

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

以下の続きです。

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第1課

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第02課

その時、大阿鼻地獄から大光明が現れ、その光は祇樹林園に遍く照しました。
その園はすべて清浄に変わり、天の摩尼宝で飾られた柱が現れました。
その光景は微妙で完全であり、大楼閣には金宝の装飾が施され、様々な部屋には黄金の門扉 、白銀の門扉 、または金銀の間錯で装飾された部屋が現れました。
金銀の間錯で装飾された宝の殿堂や、金銀の間錯で飾られた柱も現れ、黄金の殿堂には白銀の柱、白銀の殿堂には黄金の柱が現れました。また、白銀の殿堂には天の様々な妙宝で飾られた柱がありました。
祇樹林の樹上には、様々な天の妙宝が飾られ、また、黄金の劫樹(※57)には白銀の葉が現れ、その樹には様々な装飾が施され、百種類の上妙な衣服(※58)が吊るされていました。
さらに、百千の真珠の首飾りや宝の網があり、百千の上妙な宝冠や耳飾り(※59)、帯(※60)が、精巧に飾られていました。また、上妙な花や上妙な寝具があり、微妙な宝篋で飾られていました。このように、様々な装飾が施された劫樹(※57)が百千の数で現れました。
祇樹林の各園や門楼には、金剛の妙宝でできた階段があり、その楼上には無数の珍しい綸子や真珠の飾りがありました。さらに、百千の上妙な宝池があり、八つの功徳を持つ水が満たされ、上妙で完全な花が池に浮かんでいました。
それらの花は、青い蓮華(※29)、白い睡蓮(※35)、白い蓮華(※30)、マンダラ華(※31)、大マンダラ華(※32)、ウドンゲ華(※33)などであり、池を満たしていました。
また、様々な上妙な花樹があり、ジャムブー華樹(※48)、カラビラ華樹(※49)、パタラ華樹(※50)、妙解脱華樹(※51)、香雨華樹(※51)、妙意華樹(※52)などがありました。
このように、祇樹林園には、希有で清浄な美しい装飾が現れました。
その時、集会の中に除蓋障菩薩摩訶薩がいました。彼は座から立ち上がり、右肩を袈裟で偏袒し、右膝を地に付けて合掌し、恭敬の態度で仏の顔を仰ぎ見ながら、次のように仰いました:
「世尊、これは非常に希有なことです!今、私の心の中には疑問があり、如来にお伺いしたいことがあります。どうか、世尊が私の質問をお聞き入れください。世尊、今この場所に大光明が現れていますが、これは一体どこから来たのでしょうか?また、どのような因縁によってこのような希奇な現象が現れているのでしょうか?」
その時、世尊は除蓋障菩薩に告げました:
「善男子よ、よく聞きなさい。 私は今、あなたにこの大光明の意味を分かりやすく説明します。この大光明は、聖観自在菩薩摩訶薩が大阿鼻地獄の中に入ったからです。彼はすべての大苦悩を受けている生きとし生ける者たちを救うために、苦しみを救い終わった後、大きな城に入って、すべての餓鬼の苦しみを救済するために来たのです。」
その時、除蓋障菩薩摩訶薩は、再び仏に言いました:
「世尊、大阿鼻地獄は、周囲が鉄の城で囲まれ、さらにその地面も鉄でできています。その城の四方には隙間がなく、猛火と煙が常に熾し燃えています。このような悪趣の地獄の中には、大きな釜があり、その水は常に湯気を立てて沸騰しています。そこには百千の倶胝(※76)那庾多(※64)などの有情がいて、みな釜の中に投げ込まれています。これはまるで水鍋で豆を煮るように、盛り上がった湯の中で上ったり下ったり煮られ、絶え間なく煮え続ける様子です。このように阿鼻地獄の中の有情は、ひどい苦しみを受けています。 世尊、聖観自在菩薩摩訶薩は、このような地獄の中に、どのような方便を使って入ったのでしょうか?」
世尊は再び除蓋障菩薩摩訶薩に告げました:
「善男子よ、例えば転輪聖王が天の摩尼宝の園に入るように、聖観自在菩薩摩訶薩が大阿鼻地獄に入ったとき、その体は障害を受けることができません。そのとき、大阿鼻地獄のすべての苦しみの具は、菩薩の体を圧迫することができず、その大地獄の猛火はすべて消え去り、清涼な地となりました。
そのとき、地獄の閻魔や獄卒たちは、驚きと疑念を抱き、このような非常な現象が突然現れたことに驚きました。
そして観自在菩薩摩訶薩が地獄の中に入って、その中の釜の湯を破壊し、猛火をすべて消し去り、大火坑は宝の池となり、池の中には車輪のように大きな蓮華が現れました。
このような状況を見た閻魔や獄卒たちは、罰の器具や杖、弓、剣、槌、棒、弓矢、鉄輪、三股の叉などを持って、閻魔天子のもとに行き、報告しました:
「大王よ、私たちの管轄する地獄がすべて消滅しました。この原因は何でしょうか?」
閻魔天子は言いました:
「お前が言うように、業報の地獄がすべて消滅したというのはどういうことか?」
閻魔は再び言いました:
「その大阿鼻地獄が清涼に変わりました。このような状況に、天の妙なる宝冠を頂戴し、身を飾った一色の人が地獄の中に入って、釜の湯を破壊してしまい、火坑を池に変え、池には車輪のように大きな蓮華が現れました。」
そのとき、閻魔天子は一心に集中して考えました:
「これは一体どの天人の威力なのか?大自在天や那羅延などの力でこのように変化したのか、それとも大力十頭羅刹の威神の変化なのか?」
その時、閻魔天子は天眼通を用いて、天界の様子を観察しました。そして、阿鼻地獄にいる観自在菩薩摩訶薩の姿を見た後、急いで観自在菩薩摩訶薩のもとに行き、頭を下げて足を礼拝し、誠実に詩を詠んで讃えました。
蓮華王に帰命する   大悲の観自在
大なる自在の吉祥   有情に願いを施す者
大いなる威力を具え  極めて暴悪を降伏し
暗趣に明かりを灯し  観る者皆畏れ無くす
百千の腕を示現し   その眼もまた然り
十一面を具足し    智慧は四大海の如し
微妙な法を愛楽し   諸有情を救う為
亀や魚の水族等を   最上の智恵は山の如し
宝を施し群生を    最上の大吉祥を救済し
福智の荘厳を具え   阿鼻地獄に入ると
清涼な地に変わり   諸天を皆供養し
無畏を施し頂礼し   六波羅蜜を説く
常に法灯の炬を燃し  法眼は日明を越る
端正で妙なる色相   身の相は金山の如し
深遠な法海に包まれ  真に如意の相応
妙徳が口から現れ   三摩地を積み重ね
無数の百千万の    無量の快楽があり
端麗で最上の仙    恐怖を取り除き
枷鎖から解脱を得   一切に無畏を施し
眷属衆を囲んで    願い事は皆如意
摩尼宝を得た如く   餓鬼の城を破壊し、
寂静の道を開き    世間の病を救済し
幢に覆い被る如く   難陀や跋難陀、
二つの龍が脇を囲み  手に執るは不空索、
無数の威徳を現し   三界の恐怖を破る。
金剛手薬叉      羅刹および歩多
尾多やダキニ     また栱畔拏
阿鉢娑やマーラ    すべて皆が恐怖する
青い蓮華の眼は    明主に無畏を施し
すべての煩悩を    種々に皆な解脱し
微塵の数に入ると   百千の三摩地の
諸々の境界の開示し  一切の悪道を、
すべて解脱を成し遂げ 菩提道を成就する
その時、閻魔天子は、様々な称賛と供養を聖観自在菩薩摩訶薩に捧げた後、三回右繞してから自らの本所に戻った。

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」第1課

 

邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

ケンポ・ソダジによる解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第01課

仏説 大乗荘厳宝王経 巻第一

このように私は聞いた:
ある時、世尊(釈迦牟尼仏)は舎衛国の祇樹給孤独園におられました。
そこには、大勢の比丘たち千二百五十人と多くの菩薩摩訶薩たちとともに集まっていました。特に名を挙げると:
金剛手菩薩摩訶薩、智見菩薩摩訶薩、金剛軍菩薩摩訶薩、秘密蔵菩薩摩訶薩、虚空蔵菩薩摩訶薩、日蔵菩薩摩訶薩、無動菩薩摩訶薩、宝手菩薩摩訶薩、普賢菩薩摩訶薩、証真常菩薩摩訶薩、除蓋障菩薩摩訶薩、大勤勇菩薩摩訶薩、薬王菩薩摩訶薩、観自在菩薩摩訶薩、執金剛菩薩摩訶薩、海慧菩薩摩訶薩、持法菩薩摩訶薩
など、その他にも八十倶胝※76菩薩たちすべて集会に来ました。
その時、さらに三十二の天子たちの集団が皆集まり、大自在天と那羅延天がその首領を務めていました。
帝釈天王、娑婆(※1世界の主の大梵天王、日天、月天、風天、水天など、天子たちも皆集って来ました。
また、百千の龍王たちも集まり、世に有名なところで:
阿鉢邏羅龍王、曀攞鉢怛哩龍王、底銘㘈[口+隷]龍王、主地龍王、百頭龍王、虎虜[糸+尼]拏龍王、得叉計龍王、牛頭龍王、鹿頭龍王、難陀(※68)龍王、跋難陀(※69)龍王、魚子龍王、阿那婆達多(※27)龍王、娑蘖哩拏龍王
などのように、龍王たちも皆、集って来ました。
さらに百千の乾闥婆(※22)王たちも集って、世に有名なところで:
鼓音乾闥婆王、妙声乾闥婆王、千臂乾闥婆王、天主乾闥婆王、身歓喜乾闥婆王、種々楽音乾闥婆王、荘厳乾闥婆王、現童子身乾闥婆王、妙臂乾闥婆王、法楽乾闥婆王
このように、多くの乾闥婆王たちが皆、集って来ました。
さらに百千の緊那羅(※24)王たちが集って、世に有名なところで:
妙口緊那羅王、宝冠緊那羅王、熙怡緊那羅王、歓喜緊那羅王、輪荘厳緊那羅王、珠宝緊那羅王、大腹緊那羅王、堅固精進緊那羅王、妙勇緊那羅王、百口緊那羅王、大樹緊那羅王
このように、これらの緊那羅王たちも皆、集って来ました。
さらに百千の天女たちも集い、世に有名なところでは:
最上天女、妙厳天女、金帯天女、荘厳天女、聞持天女、甘露月天女、清浄身天女、宝光天女、花身天女、天面天女、口演五楽音天女、快楽天女、金鬘天女、青蓮華天女、宣法音天女、妙楽天女、楽生天女、妙厳相天女、厳持天女、布施天女、潔已天女
なども天女たちもこのように皆集って来ました。
さらに百千の龍女たちも集い、世に有名なところでは:
妙厳持龍女、母呰隣那龍女、三髻龍女、和容龍女、勝吉祥龍女、電眼龍女、電光龍女、妙山龍女、百眷属龍女、大薬龍女、月光龍女、一首龍女、百臂龍女、受持龍女、無煩悩龍女、善荘厳龍女、白雲龍女、乗車龍女、未来龍女、多眷属龍女、海腹龍女、蓋面龍女、法座龍女、妙手龍女、海深龍女、妙高吉祥龍女
このように、これらの龍女たちもまた、皆、集って来ました。
さらに百千の乾闥婆女たちも集い、世に有名なところでは:
愛面乾闥婆女、愛施乾闥婆女、無見乾闥婆女、妙吉祥乾闥婆女、金剛鬘乾闥婆女、妙鬘乾闥婆女、樹林乾闥婆女、百花乾闥婆女、花敷乾闥婆女、宝鬘乾闥婆女、妙腹乾闥婆女、吉祥王乾闥婆女、鼓音乾闥婆女(鼓乾闥婆女:チベット版)、妙荘厳乾闥婆女、豊礼乾闥婆女、法愛乾闥婆女、法施乾闥婆女、青蓮華乾闥婆女、百手乾闥婆女、蓮華吉祥乾闥婆女、大蓮華乾闥婆女、体清浄乾闥婆女、自在行乾闥婆女、施地乾闥婆女、施果乾闥婆女、獅子歩乾闥婆女、炬母那花乾闥婆女、妙意乾闥婆女、惠施乾闥婆女、天語言乾闥婆女、愛忍辱乾闥婆女、楽真寂乾闥婆女、宝牙乾闥婆女、帝釈楽乾闥婆女、世主眷属乾闥婆女、鹿王乾闥婆女、変化吉祥乾闥婆女、焰峯乾闥婆女、貪解脱乾闥婆女、瞋解脱乾闥婆女、癡解脱乾闥婆女、善知識眷属乾闥婆女、宝座乾闥婆女、往来乾闥婆女、火光乾闥婆女、月光乾闥婆女、遍照眼乾闥婆女、金耀乾闥婆女、楽善知識乾闥婆女
このように、これらの乾闥婆女たちも皆集って来ました。
さらに百千の緊那羅女たちも集い、世に有名なところでは:
一意緊那羅女、深意緊那羅女、風行緊那羅女、水行緊那羅女、乗空緊那羅女、迅疾緊那羅女、財施緊那羅女、妙牙緊那羅女、無動吉祥緊那羅女、染界緊那羅女、熾盛光遍緊那羅女、妙吉祥緊那羅女、宝篋緊那羅女、觀財緊那羅女、端厳緊那羅女、金剛面緊那羅女、金色緊那羅女、殊妙荘厳緊那羅女、廣額緊那羅女、圍繞善知識緊那羅女、主世緊那羅女、虚空護緊那羅女、荘厳王緊那羅女、珠髻緊那羅女、總持珠緊那羅女、明人囲繞緊那羅女、百名緊那羅女、施寿緊那羅女、護持仏法緊那羅女、法界護緊那羅女、上荘厳緊那羅女、刹那上緊那羅女、求法常持緊那羅女、時常見緊那羅女、無畏緊那羅女、趣解脱緊那羅女、常秘緊那羅女、駛総持緊那羅女、炎光緊那羅女、地行緊那羅女、護天主緊那羅女、妙天主緊那羅女、宝王緊那羅女、忍辱部緊那羅女、行施緊那羅女、多住処緊那羅女、持戦器緊那羅女、妙厳緊那羅女、妙意緊那羅女
このように、これらの緊那羅女たちも皆、集って来ました。
さらに百千の在家信男(※10)たちと在家信女(※11)たちも集まりました。また、その他の無数の在家者や出家者たちも百千の数で集まりました。異なる見解を持つ外道やニケンダ(異教徒)(※14)なども、皆、大集会に来ました。

《第1課ここまで》

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邦訳「仏説大乗荘厳宝王経」はじめに

漢文の経典には「SAT大正新脩大藏經テキストデータベース」にある「天息災(Devaśāntika)訳 仏説大乗荘厳宝王経」を使う。邦訳にはChatGPT使い邦訳するが、全体の体裁や詳細な合わせと編集などは私が行うこととした。邦訳内容はケンポ・ソダジ・リンポチェWikipedia)の動画から口伝と伝授を受けつつ、内容を照らし合わせ編纂していくこととした。

日本の伝統宗派の解釈ではないにせよ、「真言て勝手に云々」というのを避ける意味もあるし、伝えていくには最善ではないかと思ったからである。本件は、お会いしたことはないが動画を聞いて、ケンポ・ソダジ・リンポチェの「皆んなに広めたい」という思いに沿うなら公開するのも良いと思ったためである。

よって、ケンポ・ソダジ・リンポチェの動画と回数を合わせていくようにして、もし在家の方ならせっかく準備してくださっている貴重な機会なのでチベット語口伝ではあるが伝授(訳など日本語に吹き替え付き)を受けつつ進めてもらいたいと思い至りました。私は単なる在家で学者でもないからで得度したとしても単なる「優婆塞(うばそく)」でしかないから、基本的には私は訳しても自分だけのもので公開はしてこなかったし今後もほぼないと思います。

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Al-Anonと救い

この半年、トラウマと戦いながらひたすらマインドフルネスで洗い出していたのだけれど、私には小学校に入学してから4年生以下の記憶がスッポリないんです。事件のあったことはいくつか覚えてはいるもののピンポイントそこだけで、寧ろ幼稚園に入る前で幼馴染の子と遊んだ思い出や幼稚園に通う途中に大きな一貫校の学園を通るんですがケヤキ並木を整備されていた道を友達たちと通ったり、はたまた幼稚園の運動会やら庭で「森のくまさん」やら踊ったり、工作したり、クリスマスの演劇でキリストの誕生シーンでロバ演じたり、歌ったり、はたまた、スカートめくりが流行っていて、先生が顔真っ赤にして「そういう悪い子にはスカートはかせますからね!」と怒っていたり、他には幼馴染の女の子が好きで甘酸っぱい思い出や、その子に妹さんがいてお人形さんごっこにもつきあわされたり、ブランコ乗ったり、えぇ、結構楽しい思い出いろいろ覚えてます。
けれども、私には小学校1~4年生の記憶がスッポリないんです。
私は大蔵省(現在の財務省)に務める父とお嬢様大学卒の母の間の第三番目で、上に11歳離れた兄と8歳離れた姉がいます。東大出身でエリートコースであった父ですが、実に官僚なんて家庭ではクソみたいなもので、浴びるようにアルコールを呑み、くだを巻き暴力をふるい家庭崩壊。読んでる方の中には「官僚エリートが勝ち組家庭」とか思うでしょうが実態は親としては最低でした。酒害家族で夫婦間暴力は共依存を生みます。私は共依存で離れられない夫婦のもと逃げ場のない恐怖の中に育ちました。日に日にひどくなり平気で暴力を振り、そう姉が中学2年のある日・・・これ書いていて思い出したのは髪の泣き叫ぶ姉を父は毛を握り引っ張り回し十数メートル引きずり「出てけ!」と。とうとう姉も家出します。日に日にひどくなっていき逃げ場のない眼の前の部屋で小さくなっていた私を姉なりにかばってくれることも記憶しています。震えていたんでしょうね、怖くて、思い出したら涙も出てきます。エスカレートしてとうとう母に手を上げます。振り上げた拳に顔めがけて叩かれ「べいん」と鈍い音が耳に残っています。母のかけていたメガネは吹き飛び、その後は号泣する中、逃げ場のない私は眼の前で立ちすくんでいました。

酒が憎いです。

私の兄も姉も酒が嫌いです。原則呑みません。
こうして私の住んでいた家庭は崩壊していきました。小学校高学年5・6年は比較的若い女の先生が担任でした。一見小綺麗なのですが唇の上に結構目立つ傷のある人だったのが印象的です。数ヶ月すると豹変して本証を露わにします。始まりは確かクラスの誰かがエビが嫌いだったのか、エビフライを残して残飯にしたことから始まったかと。ヒステリックに怒鳴り散らし犯人出てこいと騒ぎます。まぁ、「犯人は正直に出てこい」とか学校ではよくある風景なわけですが、彼女は違います。しばらく怒鳴り散らしたかと思うと「じゃぁ、お前ら、連帯責任だ。今後、毎日償わせてやる!」と莫し立てその後の学校生活は本当に地獄と化しました。何かにつけてビンタ、えぇ、吹っ飛ぶぐらいです(今ならクビになるでしょう)、暴力、脅し、何かにつけて怒鳴り散らします。すぐに正当化し始めました「他の子供達、卒業した子どもたちに感謝されているから、私は正しい、やっていることは正当だ」と。「おら、ボイコットしてみろ、そんな根性もねーのか」「お前ら許さねーからな!せいぜい卒業するまでお耐えればいい、コレが連帯責任だ」と。裏で皆いってました「またあいつヒステリー起こしている」と。まぁ、尋常じゃない。やがてクラス外でもこの態度を振り回しますが、逆に舐められ、そんな反抗した彼はヒーローで、後ろの方で拍手も起きるほどでしたか。

そうして、家にも学校にも逃げ場がなくなったわけです。大人から見ればクソみたいなことですが、当の子ども本人には深刻な傷を残します。

さて姉は早生まれで当時中学2年生というと14歳です。私も早生まれで6歳、つまり小学校入学していたわけです。ACの方で特定時期の記憶の欠落って珍しくないようですね。私も漏れず記憶の欠落が起きてしまっています。幼児期の記憶は比較的残っているのに小学校入ってからは断片から必死に思い出さないと、子供のできる数少ない能力で全身全霊で生き残りの行動し続け、記憶をシャットダウンしてしまっているかのようですが、その記憶を掘り起こさないとトラウマの実態が見えませんでした。何度もそのフラッシュバックとその記憶の鮮明化、慣れさせながら、再学習させるわけです。

・・・まぁ、それで今でも苦しんでいるわけですが。正面から向き合ってみるとこんなにもひどい傷だったのかと・・・数日涙もしました。追々これはすべて明かすかもしれませんが、救いはないなと。

父も他界し、最後にとどめは火事にあい跡形もなくなったことですか。そしてまたすったもんだ。

フラッシュバックに気がついていましたが日常、二進も三進も行きませんし、致し方なくトラウマを開陳しつつ子供だった頃の無力な自分を今の大人の目線で記憶の整理をつける荒療治を、この数ヶ月行っていますが、やっと今になって、トラウマを整理してみて、初めて私が、AC(アダルトチルドレン)であったことを自覚させられました。

そんなこんなでもがき苦しみながらアラノン自助グループに通うことにしました。

酒害家族にさらされた人達と会って、本当にアルコールに逃げる人たちの弱さを痛感させられます。
仏教では飲酒は戒律で禁じられていますが在家の五戒にすら上がっている理由が今更わかります。
アラノンと同様にアルコールホリック自助グループもあって(本来はこちらが本道だった)ちょっとした正当化も「甘え」と断じているのは頷けます。そうやって飲む行為こそ無力な人間そのものであるというわけですよ。

ACは自覚が必要なんです。アルコールホリックは他覚で認定されるものです。なので「ちょっとぐらいならいい」というのは罠でしかなく結局は自覚してやめられず飲酒を繰り返す要因でしかなく救えない「甘え」を正当化しているだけです。立派な依存症です。巷でみる麻薬と同レベルの依存症ですね。ちなみにタバコを吸っても狂って人を殺すようなことはありませんが、酒は毎日ニュースで見る如くですね。未だにタバコやめてから吸ってませんが、依存症ではありませんよ、あんなもん。好きなままやめているので匂えば香りは楽しめますが、自ら吸おうとはしませんし思わないんですよね。そういう意味からも私には飲酒は甘えにしか見えないわけですがね。

そんな中調べていて「龍樹菩薩」のいう「三十五の過失」が目につきました:『三十三には、精神異常をきたしたり無知になる原因を植えつける。三十四には、死後に悪道や地獄に堕ちる。三十五には、もし次の生存に人間に生まれたとしても、その生活は常に狂気と愚かさに満ちる』。酒難しという私は、実は周りにかけた迷惑は怨となって降りかかる相続を受けたのかもなと、悔しく泣いたとしても今更遅いという話で片付けるのもよいでしょうが。来世に引き継いだとしても父からも相続を受けているとも解釈したとしても自戒もできないのなら救いようもないわけです。私はそう思ったわけですが、来世はないなら過去世もないです。お好きなだけ楽しめばよいです、他人事なので。

まぁ、そんな中、ちょっと元気の出るマントラがありましたので二週間ほどかけて邦訳していこうと思います。元々は今亡き師匠は山登りが好きでヒマラヤに憧れチベットで色々持ち帰り日本で僧侶になった方だったのでよく歌いながら唱えて教えてくれていた真言だったりします。オン マニ パドメ フーン♪

話は前後しますが得度の際習った准提真言ですが、実に密かにいまだに読んでいて、何故か多羅菩薩へつきあたりました。准提真言は満願すると夢の中なりそういう眷属とであったり色々実際に起きることがあるそうなんですが、単純に「頭おかしいんとちゃう?」と思っていたわけですが、まぁ調べていくとそういう功徳もあるそうで。実際にはやはりこれも師匠譲りで「観音様の涙は多羅菩薩だよ」というのを頭の端で覚えていたのかもしれません。何れにしても准提真言を調べるとどうしても立ちはだかるのが六字大明で「オン マニ ペメ フーン♪」は観音様の真言と捉えるのが正しいんだと気付かされました。准提観音様以外、真面目に、観音さん拝んだことないんでしが、そんなこんながあったので。