以下の続きです。
ケンポ・ソダジ師による解説:『仏説大乗荘厳宝王経』第02課
その時、大阿鼻地獄から大光明が現れ、その光は祇樹林園に遍く照しました。
その園はすべて清浄に変わり、天の摩尼宝で飾られた柱が現れました。
その光景は微妙で完全であり、大楼閣には金宝の装飾が施され、様々な部屋には黄金の門扉 、白銀の門扉 、または金銀の間錯で装飾された部屋が現れました。
金銀の間錯で装飾された宝の殿堂や、金銀の間錯で飾られた柱も現れ、黄金の殿堂には白銀の柱、白銀の殿堂には黄金の柱が現れました。また、白銀の殿堂には天の様々な妙宝で飾られた柱がありました。
祇樹林の樹上には、様々な天の妙宝が飾られ、また、黄金の劫樹(※57)には白銀の葉が現れ、その樹には様々な装飾が施され、百種類の上妙な衣服(※58)が吊るされていました。
さらに、百千の真珠の首飾りや宝の網があり、百千の上妙な宝冠や耳飾り(※59)、帯(※60)が、精巧に飾られていました。また、上妙な花や上妙な寝具があり、微妙な宝篋で飾られていました。このように、様々な装飾が施された劫樹(※57)が百千の数で現れました。
祇樹林の各園や門楼には、金剛の妙宝でできた階段があり、その楼上には無数の珍しい綸子や真珠の飾りがありました。さらに、百千の上妙な宝池があり、八つの功徳を持つ水が満たされ、上妙で完全な花が池に浮かんでいました。
それらの花は、青い蓮華(※29)、白い睡蓮(※35)、白い蓮華(※30)、マンダラ華(※31)、大マンダラ華(※32)、ウドンゲ華(※33)などであり、池を満たしていました。
また、様々な上妙な花樹があり、ジャムブー華樹(※48)、カラビラ華樹(※49)、パタラ華樹(※50)、妙解脱華樹(※51)、香雨華樹(※51)、妙意華樹(※52)などがありました。
このように、祇樹林園には、希有で清浄な美しい装飾が現れました。
その時、集会の中に除蓋障菩薩摩訶薩がいました。彼は座から立ち上がり、右肩を袈裟で偏袒し、右膝を地に付けて合掌し、恭敬の態度で仏の顔を仰ぎ見ながら、次のように仰いました:
「世尊、これは非常に希有なことです!今、私の心の中には疑問があり、如来にお伺いしたいことがあります。どうか、世尊が私の質問をお聞き入れください。世尊、今この場所に大光明が現れていますが、これは一体どこから来たのでしょうか?また、どのような因縁によってこのような希奇な現象が現れているのでしょうか?」
その時、世尊は除蓋障菩薩に告げました:
「善男子よ、よく聞きなさい。 私は今、あなたにこの大光明の意味を分かりやすく説明します。この大光明は、聖観自在菩薩摩訶薩が大阿鼻地獄の中に入ったからです。彼はすべての大苦悩を受けている生きとし生ける者たちを救うために、苦しみを救い終わった後、大きな城に入って、すべての餓鬼の苦しみを救済するために来たのです。」
その時、除蓋障菩薩摩訶薩は、再び仏に言いました:
「世尊、大阿鼻地獄は、周囲が鉄の城で囲まれ、さらにその地面も鉄でできています。その城の四方には隙間がなく、猛火と煙が常に熾し燃えています。このような悪趣の地獄の中には、大きな釜があり、その水は常に湯気を立てて沸騰しています。そこには百千の倶胝(※76)那庾多(※64)などの有情がいて、みな釜の中に投げ込まれています。これはまるで水鍋で豆を煮るように、盛り上がった湯の中で上ったり下ったり煮られ、絶え間なく煮え続ける様子です。このように阿鼻地獄の中の有情は、ひどい苦しみを受けています。 世尊、聖観自在菩薩摩訶薩は、このような地獄の中に、どのような方便を使って入ったのでしょうか?」
世尊は再び除蓋障菩薩摩訶薩に告げました:
「善男子よ、例えば転輪聖王が天の摩尼宝の園に入るように、聖観自在菩薩摩訶薩が大阿鼻地獄に入ったとき、その体は障害を受けることができません。そのとき、大阿鼻地獄のすべての苦しみの具は、菩薩の体を圧迫することができず、その大地獄の猛火はすべて消え去り、清涼な地となりました。
そのとき、地獄の閻魔や獄卒たちは、驚きと疑念を抱き、このような非常な現象が突然現れたことに驚きました。
そして観自在菩薩摩訶薩が地獄の中に入って、その中の釜の湯を破壊し、猛火をすべて消し去り、大火坑は宝の池となり、池の中には車輪のように大きな蓮華が現れました。
このような状況を見た閻魔や獄卒たちは、罰の器具や杖、弓、剣、槌、棒、弓矢、鉄輪、三股の叉などを持って、閻魔天子のもとに行き、報告しました:
「大王よ、私たちの管轄する地獄がすべて消滅しました。この原因は何でしょうか?」
閻魔天子は言いました:
「お前が言うように、業報の地獄がすべて消滅したというのはどういうことか?」
閻魔は再び言いました:
「その大阿鼻地獄が清涼に変わりました。このような状況に、天の妙なる宝冠を頂戴し、身を飾った一色の人が地獄の中に入って、釜の湯を破壊してしまい、火坑を池に変え、池には車輪のように大きな蓮華が現れました。」
そのとき、閻魔天子は一心に集中して考えました:
「これは一体どの天人の威力なのか?大自在天や那羅延などの力でこのように変化したのか、それとも大力十頭羅刹の威神の変化なのか?」
その時、閻魔天子は天眼通を用いて、天界の様子を観察しました。そして、阿鼻地獄にいる観自在菩薩摩訶薩の姿を見た後、急いで観自在菩薩摩訶薩のもとに行き、頭を下げて足を礼拝し、誠実に詩を詠んで讃えました。
蓮華王に帰命する 大悲の観自在
大なる自在の吉祥 有情に願いを施す者
大いなる威力を具え 極めて暴悪を降伏し
暗趣に明かりを灯し 観る者皆畏れ無くす
百千の腕を示現し その眼もまた然り
十一面を具足し 智慧は四大海の如し
微妙な法を愛楽し 諸有情を救う為
亀や魚の水族等を 最上の智恵は山の如し
宝を施し群生を 最上の大吉祥を救済し
福智の荘厳を具え 阿鼻地獄に入ると
清涼な地に変わり 諸天を皆供養し
無畏を施し頂礼し 六波羅蜜を説く
常に法灯の炬を燃し 法眼は日明を越る
端正で妙なる色相 身の相は金山の如し
深遠な法海に包まれ 真に如意の相応
妙徳が口から現れ 三摩地を積み重ね
無数の百千万の 無量の快楽があり
端麗で最上の仙 恐怖を取り除き
枷鎖から解脱を得 一切に無畏を施し
眷属衆を囲んで 願い事は皆如意
摩尼宝を得た如く 餓鬼の城を破壊し、
寂静の道を開き 世間の病を救済し
幢に覆い被る如く 難陀や跋難陀、
二つの龍が脇を囲み 手に執るは不空索、
無数の威徳を現し 三界の恐怖を破る。
金剛手薬叉 羅刹および歩多
尾多やダキニ また栱畔拏
阿鉢娑やマーラ すべて皆が恐怖する
青い蓮華の眼は 明主に無畏を施し
すべての煩悩を 種々に皆な解脱し
微塵の数に入ると 百千の三摩地の
諸々の境界の開示し 一切の悪道を、
すべて解脱を成し遂げ 菩提道を成就する
その時、閻魔天子は、様々な称賛と供養を聖観自在菩薩摩訶薩に捧げた後、三回右繞してから自らの本所に戻った。

